研究会について

1.担当教員より

地域社会論研究室を主宰している笠井です。地域社会論は社会学の一分野です。地域社会と聞いて、自分が生まれ育った地方や、ニュースや作品で知る田舎暮らしの良し悪しなどをイメージする人もいるかもしれません。しかし、地域社会は必ずしもruralやcountrysideを意味するものではなく、都市や郊外も含まれます。人の生活が関わっている何らかの地域性全般を対象とする分野です。そのため、民俗行事や祭礼といった伝統に関わるもののほか、住民自治や地域福祉、さらには公共空間の利用なども射程範囲です。
担当教員は以上のうち、特に滋賀県で民俗(伊勢講、左義長)、住民自治(自治会、ニュータウン)、地域福祉(更正保護、児童虐待、子どもの貧困)などを対象とした研究に取り組んでいます。もともとは生活史法という、人生史の聞き取りを中心として社会史に迫る方法を取っていました。最近はそれに加え、GIS(地理情報システム)や計量テキスト分析にも関心をもっています。また、古文書を含む民俗資料の読解や、地域住民とのコミュニティアーカイブ制作などにも幅を広げようと挑戦しています。他の研究室と比べ担当教員の研究歴が浅いですが、その分、ゼミ生と教員がそれぞれに自分がいま一番取り組みたいことに取り組み、互いに影響を与え合う半学半教が体験しやすい研究室かもしれません。
本研究室を志望する学生は独立自尊の精神を持ち――自身の強い興味関心と責任感、そして他者への尊敬を抱えながら――、人と接する何らかの社会調査に基づく研究を行って下さい。地域社会を机上の対象として捉えるだけでなく、その社会に自分も何らかの形で巻き込まれてしまうような――あるいは社会を巻き込んでいけるような――、実学志向の学生を待っています。
教員や先輩は少しだけ皆さんより早く地域社会論の勉強を始めたに過ぎないので、入ゼミ後すぐに、学問上は対等の関係で議論に加わってください。私も皆さんから多くのことを学ぶのを楽しみにしています。
ゼミ運営上の特徴を3点挙げておきます。(1)毎週のゼミは2学年合同かつ3コマ連続で行われます。(2)サブゼミや先輩後輩のグループなどゼミ内でのグループワークが盛んです。(3)教員の研究関連の補助業務を行うゼミ内アルバイトを募集することがあり4人に1人が経験しています。(4)いろいろな分野のゲストがゼミに参加してくださります。

2.研究の対象

住民自治、民俗行事、まちづくり、地域福祉など地域社会に関するテーマが中心です。

3.ゼミ生の構成

1期生(2020年度入ゼミ 実員) 14名

2期生(2021年度入ゼミ 実員) 10名

3期生(2022年度入ゼミ 実員) 14名

4期生(2023年度入ゼミ 実員) 14名

5期生(2024年度入ゼミ 定員) 10名~15名

*1次選考で10名に満たなかった場合のみ、2次選考を行います。

4.他学部生の受け入れ

可能です。政治学科の学生と区別しません。

5.留学から帰ってくる学部生の扱い

留学に行く前または留学中に入ゼミ選抜を受けて合格していれば受け入れ可能です。帰国後に個別に入ゼミ選抜を行うことはありません。

6.ゼミ生からのコメント

(ウェブ版の追記)本ウェブサイトにゼミの様子を伝える記事があります。

7. ゼミの進め方

水曜午後(13時~18時の3コマ)はすべて研究会に当てるものと想定しておいてください。運営は学生と協議のうえで決めますが、各コマは(1)卒業論文の発表またはゲスト講演、(2)輪読、(3)サブゼミに充てられます。そのほか、サブゼミの活動や合宿、フィールドワークを行うことがあります。

以上より、ゼミの拘束時間も、ゼミ外に求める活動時間も比較的長いゼミであると考えてください。

7.主な使用文献

次の教員著作3冊はゼミでは用いないが読んでいることを前提として進めます。

  • 工藤保則・大山小夜・笠井賢紀編著『基礎ゼミ社会学』(2017, 世界思想社)
  • 笠井賢紀『栗東市の左義長からみる地域社会』(2019, サンライズ出版)
  • 笠井賢紀・工藤保則編著『共生の思想と作法』(2020, 法律文化社)

8.ウェブサイト

入ゼミ関連:https://katatsumu.jp/keio-entry/

9.連絡先

笠井賢紀(教員本人)kasa [at] keio.jp (※kasaの後に i は不要です。入れると別の教員に届きます)

  • 研究室の教員・ゼミ生の連絡手段にはDiscordというアプリを用います。
  • 研究室のファイル共有にはGoogleドライブを用います。